「塾なし中学受検」を考える

〜塾に通わず、通信教材のみで都立中高一貫校に合格しました〜

都立中高一貫校 適性検査対策「基礎学習について③」

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『基礎学習について②』」からの続きです〜

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話は少し戻りますが、4年生から新たに始まったZ会「小学生コース」の教材の難易度は、公立小学校の教材と私立中学受験塾の教材の中間くらいの位置付けという実感でした。公立小学校の授業レベルよりは明らかに高いが、私立中学入試問題のレベルで言えば、四谷大塚ないし日能研の偏差値で40台前半くらいかな、という感じです(それも何とか合格ラインに行くかどうか、8割以上の得点はかなり厳しいと感じます)。それは、私立中学の入試に特有の問題を解くために必要な知識やテクニックはほとんど載っていないからです。それでも国語と算数は応用レベルの問題もあり、特に算数はなかなか骨太な問題も多く、よく娘が「分からない」と言った問題を解説を見ながら一緒に考えたりしました。計算ドリルも補助教材として夏休み前に追加されたりするので、とにかく基礎から初級レベルの応用問題まではしっかりカバーされている印象です。その意味では、私立中学受験をしない我が家にとっては十分過ぎる教材でした。

 

一方で、理科と社会は相対的に分量も少なく、各回の構成が「解説を読んでから問題を解く」流れで一貫しており、かつ問題もほぼ解説に書いてある内容をなぞる形の出題のため、難易度は低めです。分からなければ解説に戻って該当箇所を探せば、ほぼ答えは書いてあります。きちんとやれば理科や社会に関する基礎知識は身につきますが、国語と算数以上に私立中学受験レベルとの乖離は大きいです(そもそも目的が異なるので当然なのですが)。

 

このように見てみると、私立中学の入試問題がいかに難しいか、またいかに多くの受験生にとって学習の負荷がかかっているかを改めて感じました。先日、ある中学受験専門塾の夏期講習の時間割を見たのですが、朝の9時30分からスタートで、100分(!)の授業が2コマあり、昼食休憩。その後再び100分授業が3コマあって(その時点で夜7時くらい)、希望者は1〜2時間自習して帰っても良い、とそんな感じでした。遅い子で夜の8〜9時に帰宅という…。それが夏の間5日間で1ターム、全部で3〜4タームあるようでした。私には行き過ぎているように感じました。

 

私も中学受験経験者ですが、自分が通っていた塾の夏期講習は、さすがにこんなに長時間ではなかったと思います(はっきりとは覚えていませんが)。もちろん講習自体はありましたが、せいぜい夕方4時までには終わっていたのではないか。通っていた塾では正月三が日特訓なんていうのもありましたが(さすがに親もそれに行けとまでは言いませんでしたが)。考えるに、少子化が進んだことで、一人の受験生からできる限り受講料を搾りとる必要が生じているのでしょうか。

 

中学受験の問題は、年々難易度のインフレを起こしていると聞いたことがあります。10年前には難関校でしか出題されなかったレベルの問題も、10年経つと偏差値50ほどの学校でもほぼ定番化されて出題されるようになるとのことでした。できる子ほど差がつかなくなるからでしょうね。それも先ほどのように塾がたっぷり時間をかけて攻略法を伝授するから、出された当初は考えさせる良い問題も、すぐにパターン化され、陳腐化してしまうのでしょう。そういった学校と塾とのいたちごっこに振り回される小学生たちは、本当に良い学びができているのかなとついつい考えてしまいます。だからこそせっかく苦労して私立中学に入学できても、一定数燃え尽きるような形で成績低迷、不登校や中退になってしまう子どもが出てきてしまうように思うのです。

 

話が少し逸れてしまったので、次回は引き続きA子のZ会との取り組み方について書きたいと思います。

 

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『基礎学習について④』」に続きます〜

都立中高一貫校 適性検査対策「基礎学習について②」

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『基礎学習について①』」からの続きです〜

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さて、幼稚園から小学3年生まで、全家研「ポピー」→小学館「ドラゼミ」と2つの通信教材を経て、「ドラゼミ」自体が終了するタイミングで小学校4年生4月から「Z会」に切り替えたというところまでが前回書いた内容でした。今回はその続きです(ちなみに2学年下のB太はそのまま小学館の新通信教材「まなびwith」を選択したということも書きました)。

 

Z会がどういう教材かについて私がここで詳細を書くよりも公式の案内を見た方が的確だと思うので、そこはZ会のHPにお任せするとして、ここでは受検までの3年間でA子がどの講座を受講し、どのように勉強を進めたかについて書いていきたいと思います。

 

まず、Z会の小学3〜6年生向けの講座は大きく3つのコースに分かれています。

①小学生コース(紙教材)

②小学生タブレットコース(タブレット)

③中学受験コース(紙+タブレット)

 

①はまず本科6科目(4科、プログラミング学習、5〜6年のみ英語)から受講科目を1〜6選択し、任意で専科(3〜4年は英語と思考・表現力の2科、5〜6年は作文と公立中高一貫校適性検査の2科、6年のみ公立中高一貫校作文)を+αします。

②は3〜6年生共通で7科目(4科、英語、総合学習、プログラミング学習)がセットになっており、全科目セット受講が必須になります。

③は学年では分かれておらず、4科から1〜4選択し、任意で専科(いずれも6年のみ頻出分野別演習、志望校別予想演習)を+αします。

 

私たちはいわゆる国私立の中学受験は考えていなかったため③ではなく、またタブレット学習より紙教材が良かったため②も消えて、ほぼ必然的に①だけが残りました。

さらに4〜6年生で実際に受講した講座は、

《4年生》

4科のみ

《5年生》

4科、作文、公立中高一貫校適性検査

《6年生》

4科、公立中高一貫校適性検査、公立中高一貫校作文

でした。英語とプログラミング学習は3年間で一度も受講せず、基本の4科と公立中高一貫校対策に絞りました。

 

「公立中高一貫校対策に絞った」と言っても、以前の記事にも書きましたが、小4や小5から受検を考えていたわけではありません。小4の学年末に、新年度からの受講科目を選択するタイミングで「せっかく公立中高一貫校向けの講座が始まるのならどんなものか少しさせてみるか」くらいの気持ちでした。もしやってみて箸にも棒にもかからないようならやめればいいし、案外楽しんでできるようなら続けよう、これくらいの考えでした。

 

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『基礎学習について③』」に続きます〜

 

 

都立中高一貫校 適性検査対策「基礎学習について①」

こんにちは。今春、第一子A子が塾に通わずに都立中高一貫校に合格したことに関してあれこれと記述していくブログです。

 

今回は塾に通わずに都立中高一貫校を受検するうえで、基礎学習として何をしたかについて書きたいと思います。

 

我が家でA子が基礎学習として行っていたのは、小学校の宿題+通信教材でした。

 

小学校の宿題については、どの学校でも課されるような日々の学習に関わる一般的なものに加え、提出が任意の「自学自習ノート」がかなり学力の底ざさえになったということは過去の記事「調査書について②」に詳しく書きましたが、これによって教科の枠を越えた様々な知識が身についたようです。小学校4年生から6年生までの3年間、途中で担任の先生は変わりましたが、学年として「自学自習ノート」についての方針は引き継いでいただいたらしく、最後まで続けることができました。どちらの担任の先生も、違う形でしたが生徒のやる気をうまく引き出す仕掛けを用意されていて、例えば内容の良かったページには特別なシールを貼って下さるなど、A子はその都度とても喜んでいたようです。ただ、こればかりは子供がどのような担任や学年に当たるか次第のところがあるなと感じます。というのも、現在同じ小学校に通っている弟のB太のクラス、学年では、今のところ一切このような取り組みがなされていないからです。これは公立小学校の一つの限界かと思います(例外もあるかもしれませんが)。「自学自習ノート」への取り組みでは、家にある本や図鑑が大活躍しました。これも「読解力について①②」に書いたのですが、調べたい時、確認したい時にすぐ手元に各種の本があるという環境は、その後の中学入学後も含め、かなりプラスになったと思います。

 

もう一つ、通信教材も基礎学力づくりの点で大きかったと思います。幼稚園の頃は全家研「月刊ポピー」、小学校1〜3年生までは小学館の今はなき「ドラゼミ(ドラえもんゼミ)」をさせていました。深い考えはほぼなく、最低限の基礎事項の確認ができそうなことと、「ドラえもんが好きだから進んでやってくれるかな」程度の理由でしたが、教材はドラえもんのキャラクターイラストがほぼ全ページに配されていて、内容もよく工夫されていて、いま振り返っても低学年時の学習習慣づくりとしてはかなり良かったと思います。

 

「いつまでドラゼミを続けるべきか」と漠然と考え始めたA子が小学校3年生の後半、おそらく著作権料の問題かなと思うのですが(あくまで個人の推測)、その年度をもって「ドラゼミ」が終了してしまうという通知が突然来たのです。次なる小学館の通信講座は「まなびwith」という名称で、後継者(?)は「まなだま」という、オリジナルのゆるいハンプティダンプティのようなたまご型のキャラクターで、A子が「全然可愛くない」(失礼)と嫌がったこともあり、「じゃあ来年から高学年に上がることだし、昔から定評のありそうなZ会を考えてみるか」となったのが、今から振り返ると最終的に合格できる力をつけることのできた一つの転機だったと思います。

 

(ちなみに、下のB太は「ドラゼミ」終了後そのまま小学館の「まなびwith」に進んだのですが、「まなだまが気持ち悪いからやる気が出ないんだ!」などと散々責任転嫁した挙句、わずか2年後にこれまた突然の講座終了通知が届いて「名探偵コナンゼミに変わるという、かなりの迷走状態が見られました。ドラえもんを手放したことで相当な顧客の流出が起こり、「まなだま」で更に拍車がかかったものと想像されます。オリジナルで勝負をかけるにしても、もう少し何とかならなかったのかと思える悲劇のキャラクターだったと言えるでしょう)

 

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『基礎学習について②』」に続きます〜

都立中高一貫校 適性検査対策「問題集について③」

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『問題集について②』」からの続きです〜

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前回までの記事に書きましたが、結局実際の受検までにA子が解いた問題集は志望校の過去問題集以外には2冊だけだったので、正直に言って現時点での私には他の問題集を具体的に評価する根拠がありません(特に子供に実際に取り組ませての反応や結果という点で)。今後第二子以降でまた中学受検に挑戦することがあれば、その時は他の問題集に取り組ませてみる可能性はあります。

 

ですので、今回は具体的な問題集の評価に関する話ではないのですが、志望校の過去問題集をどう扱ったかについて書きたいと思います。

 

前回までの記事にも書いた通り、A子が志望校の過去問題集を実際に解き始めたのは検査前月の1月でした。それも、年末年始は例年通り実家に帰省していたので、より正確には3学期が始まってからでした。当初の計画では前年の11月末までに先の記事で触れた問題集を終え、12月から志望校の過去問に取り組ませたかったのですが、なかなかそううまく事は運ばず、ほぼひと月遅れのスタートでした。なお、過去問題集は声の教育社版を使用しました。

 

やり方としては、

①実際の検査と同じ時間で行い、最後まで終わらなくても時間が来たら解答をやめる。

②親が採点をし、点数をつける(そのために事前に問題と解答・解説には目を通しておき、大体の配点も考えておきました)。

③分からなかった問題や間違えた問題、時間内に解き切れなかった問題はすぐに一緒に確認し、親のヒントを元にできるだけ自分の力で解くようにさせる。

と決め、解かせましたが、実際は全てこのようにうまくは行かなかった部分もありました。

 

まず①については、やはり実際の検査問題は難しいということと、特に適性検査Ⅱについては10年ほど前に比べて明らかに問題の分量が年々増えて来ているため、年度が今に近づけば近づくほど解き切るのが困難になっていきました。結果、②のようにして行った採点の結果も、良くて6割に届くかどうか、場合によっては5割も厳しいか、といった状況でした。反対に、適性検査Ⅰの作文は、遡ると独創性が求められているような、親からすれば採点基準がいまいち分からないような問題だったのが、数年前からはある程度オーソドックスな課題文を読んで答える形式に変わったことでだいぶ取り組みやすくなったように思いました。実のところ、あまり検査日まで余裕がなくなっていたこともあり、適性検査Ⅰについては問題傾向が変わってからの分しか解かせませんでした。もちろん余裕があったなら全て解かせていたと思いますし、突然出題傾向が元に戻る可能性もあったかもしれませんが、そこはスパッと割り切りました。実際、本番ではここ数年と同様、課題文の内容に沿って自分の意見をまとめる問題だったので、この選択は何とか奏功したと言えます。あくまで結果論ですが。

 

また、②についてはあくまで「こんなものかな」といった恣意的な配点を元に採点したため、実際の採点とは大きく異なっていた可能性ももちろんあります。ですから、親としては③を重視し、とにかく本番の検査で少しでも良い結果を残せるようにと考えました。ただ、現実はそれほどうまく行かなかったのも事実です。この頃からA子に明らかな反抗期の徴候が現れ始め(笑)、虫の居所が悪いと全く素直に解き直しに応じなかったり、「もう嫌だ!」と言って塞ぎ込むといったことも多々ありました。そんな時、すでに公立一貫校受検を終えられた方のブログを読み、「最後の一ヶ月は親が感動するほど真剣に問題に取り組み、この頃には日々の勉強時間もかなりの長時間に渡っていました」といった記述を見ては「素直なお子さんで羨ましい...」と思ったものでした(笑)。ただ、これも結果論+持論でしかないと言ってしまえばそれまでなのですが、私は中学受験(受検)というものは子供の精神的成長がかなり大きくものを言う世界だと思っているので、小学校6年生で反抗期を迎えたということは親としてはただただ面倒なことですが、受検という観点からはプラスだったのだろうと考えています。あれだけ難しい文章を読んで内容を理解し、さらに自分の考えを述べるというのは、一歩大人の世界に入っているかどうかがかなり大きく作用することなのではないかと思うからです。

 

ということで、最終的には1月の本当に最後の最後に何とか適性検査Ⅱを10年分解き終え、検査Ⅰは傾向が変わってからの分だけを解いたというところまで持って来れたという感じでした。正直この時の本音は「合格は難しいかな」という気持ちでした。自己採点の結果、適性検査Ⅱが5割から6割の得点率だったので、「都立中高一貫校の合格ラインのこと①〜④」の過去記事にも書きましたが、受かるかどうかは適性検査Ⅰの作文の出来次第だと考えていました。「中学受験(受検)はあくまで本人の意志が大事」という持論を持っていたつもりでしたが、心の中のどこかでそこに徹し切れず、「受かってくれるといいなあ...」という欲目が生じていたことも正直に告白しておきます。

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都立中高一貫校 適性検査対策「問題集について②」

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『問題集について①』」からの続きです〜

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前回の記事「都立中高一貫校 適性検査対策『問題集について①』」 に書いた通り、小学6年生の6月に初めて公立中高一貫校模試を受けさせた際、試験中に立ち寄った書店で購入したのが以下の2冊でした。
 
①「6つのプロセスで分類した公立中高一貫校対策問題集」(みくに出版 2013年9月10日
②公立中高一貫校 適性検査対策問題集 生活と科学編 (東京学参 2019年5月28日)
 
①は少し古め(10年ほど前)の過去問題を集めて種類別に再構成したもので、網羅性が高く、同出版社の大部な全国版過去問題集(銀本)に比べて取り組みやすく見えたので、「問題演習の入口として適切かな」と思ったのが購入した理由です。銀本は「もう少し後で買えばいいかな」くらいに考えてこの時は見送ったのですが、結果的には①を解き始めたのが9月末からになり、さらに一通り終えられたのが12月末になってしまったため、1月は志望校の過去問だけで精一杯で結局銀本は買うこともなく終わりました。
 
振り返ってみて、問題数をこなせたという意味では非常に意味がありましたが、やはり問題が全体的に10年ほど前のもので構成されており古いため、「最近はこういう問題は出題されなさそうだな」と感じるやや易しめの問題も一部にはありました。また、私は銀本の解説を直接見て確認していないため正確な分析ではありませんが、①の解説の詳しさについてはそれほど懇切丁寧ではないように感じました(あっさりしている)。ただ、それは網羅性の高い問題集の宿命だとも思うので仕方ないと割り切りました。前回の記事にも書きましたが、①の改訂版が2022年5月に発売されており、もし掲載されている問題が新しいものに一新されていれば、今後第二子の時に改めて買ってもいいかなと思えるくらいは役立ったと思います。
 
その点、②は掲載問題数が少なく、その分解説が詳しかったため、家庭で親が教えるには使いやすく感じました。このシリーズはその後もテーマ別に新作が出続けているようで、これも一つの選択肢として全て買い揃えて取り組むのもありだったかなと思いました。  
 
ただ、基本的にZ会をベースに日々の学習をしていたため、それだけでもそれなりの勉強量となり、そこに+αで参考書や問題集に取り組ませるのはなかなか大変でした。もし本人がものすごいモチベーションを持って都立一貫校受検に向かっているのなら複数の問題集を解くこともできるのかもしれませんが、我が家の場合本人がそこまで強い意志は持っていなかったため、3ヶ月で上記の①と②をやり切れただけでも上出来と割り切りました。
 
そのような状況だったため、6年生の9月から①や②に取り組み始めた時は、ある程度親が主導して解かせていくようにしました。具体的には、 
(a)事前にいくつか先の問題まで目を通し、解かせる問題の選別を行う。
(b)実際に親も解いてみて(できなければ解説を見て)、子供が分からなかった時にヒントを出せるようにしておく。

 の2つを実践しました。

 

(a)は、問題によっては正直あまりよく作られているとは言えないものがあるのに気づいたので、それらを「無理に取り組まなくても良い問題」として除外する作業でした。全体的に古めの問題を集めた本でしたので、その後作問が洗練されて今は全体的に良くなっているかもしれませんが、色々な学校の過去問に目を通してみて特に問題に感じたのは、

・問題における日本語の指示に複数の解釈の可能性がある、あるいは何を指しているのかよく分からない。

・(特に算数系の問題において)途中式を並べていけば十分理解しているかが確認できるのに、無理矢理言葉による考え方の説明を求める。

の2つでした。いずれも子供が混乱するか、無駄に時間がかかってしまうと判断し、解くべき問題から除外しました。ただし、後者についてはこちらで「式を並べて答えが出せればいいよ」と指示を出して解かせることもありました。いずれにせよ本質的でないところで子供のやる気を削いだら逆効果だと考えた上での対応でした。

 

(b)は単純に塾に通っていなかったので、親が教えてやるしかないという理由もあったのですが、私立中学の難問とは異なり、解説を見ながら考えれば何とか理解できる問題になっているので、こちらもなるべく楽しみながらサポートしていけるよう努力しました。時々難しめの問題に当たった時は、子供とあれこれ話しながら解くこともありました。それによって子供も放ったらかしにされてはおらず、一緒に取り組んでもらえているという安心感を少しは持ってくれたのでは、と一方的に思っています。

 

志望校の過去問題集を除き、結局この2冊を終わらせるだけで精一杯でしたが、9月から12月までの3ヶ月間、ほぼ毎日2〜3題ずつコツコツと積み重ねたことは、最終的に本人の地力になったのではと思います。

 

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『問題集について③』」に続きます〜

 

都立中高一貫校 適性検査対策「問題集について①」

こんにちは。今春、第一子A子が塾に通わずに都立中高一貫校に合格したことに関してあれこれと記述していくブログです。

 
今回は適性検査対策に使用した「問題集」について書きたいと思います。……とは言っても、我が家では毎月の通信教材(これについてはまた別の記事に書く予定です)を除いてA子が使った問題集は3冊だけでした。より厳密に言えば、そのうちの1冊は受検校の過去問題集だったので、実質的には2冊だったことになります。その2冊ですが、
①「6つのプロセスで分類した公立中高一貫校対策問題集」(みくに出版 2013年9月10日)
②公立中高一貫校 適性検査対策問題集 生活と科学編 (東京学参 2019年5月28日)
になります。

いま正確な書名を確認するためにネットで検索したら、①は2022年5月13日に改訂新版が出ていました。②は他に「数と図形編」「資料問題編」「作文問題トレーニング編」「作文問題書きかた編」「総合編」の5冊が出ているようです。実はこのうち「数と図形編」も購入したのですが、解説が私にとっては分かりにくく子供に教えることが困難だったため、ほぼ使わずに終わりました。

 
なぜこの2冊を選んだのか……実はそれほど大きな理由はありません。以前、本ブログにて「『塾なし中学受検』を選んだ理由」という表題でいくつか記事を書きましたが、それより前のこと、つまりそもそもなぜA子が中学受検をすることになったかの切っ掛けについてはまだ書いていませんでした。この2冊を選んだのは、その切っ掛けと少し関係があります。
 
元々A子は小学4年生から通信教材のZ会(「中学受験コース」ではない「小学生コース」)を4科目で始めたのですが、小学5年生になると追加で選べる「公立中高一貫校適性検査」と「作文」の講座に、何となく「子供のプラスになるかな」くらいの気持ちで申し込みました。というのも、もし娘本人が最終的に都立中高一貫校に関心を示した時に、何にも準備をしていなければまず合格は無理だろうと思ったからです。とは言え、その追加講座では作文の添削は1ヶ月に一度だけ、適性検査問題対策の冊子も週1回ずつ程度の分量だったので、正直なところ当時の私は心の中で「さすがにこれだけで合格は難しいかな…」と思っていました。けれども、たとえ適性検査に通らなかったとしても、あるいは最終的に受検しなかったとしても、小学校卒業までの2年間この学習を続ければ、本人の学力にマイナスになることはないだろうと考え、受講することにしたのでした。
 
その後、娘が小学6年生になった2021年6月のある日、ふと「もしいま娘が適性検査の模擬テストを受けたら、はたしてどれくらいの位置にいくのだろうか」という疑問が私の中で湧き起こりました。1年と数ヶ月でしたが、続けてきたZ会の公立中高一貫校講座の効果がどれくらいあるのか知りたい気持ちもありました。ただ、無理強いだけはしたら意味がないと思っていたため、一応A子には申し込み前に打診をしてみました。すると、「受けてもいいよ」といった反応だったので、申し込むことに決めました。
 
この時まで、いわゆる模試は小学4年生の時に近所の会場で行われた首都圏模試センター主催の「中学受験スタート模試」しか受けたことがなく、都立中高一貫校受検向けの模試にどのようなものがあるのかはほぼ知りませんでした。ただ、同じ首都圏模試センターが公立中高一貫校向けの模試を比較的早い時期から実施していることは知っていたので、最初はそれを受けさせてみようと調べてみたのですが、直近の模試日程が小学校の行事と重なってしまっていたため、さあどうしようかと思っていた時に、たまたまネットで見つけたのが早友学院という小規模塾が主催する公立中高一貫校模試でした。規模こそ他の模試に比べるとだいぶ小さいようでしたが、口コミを見てみると問題の質に対する評価が高かったことと、この塾が公立中高一貫校受検対策に的を絞った塾であり、その規模に対しては実績の高いことが分かったので、ひとまず受けさせてみようということになりました。結果的にこの模試に出会ったことが適性検査を受検する決め手になったのですが、「問題集について」という今回の記事のテーマに戻すため、模試についてはまた別に改めて書くことにします。
 
偶然ネット上で見つけて受けることになったこの模試の会場にA子を連れて行った私は、試験終了まで外で時間を潰すことにしました。この時は会場が神保町だったので、三省堂書店に行って本を買ってから喫茶店に入ろうと決めたのですが、その時ふと「公立中高一貫校用の問題集でも見てみるか」と思いつき、参考書コーナーで見つけたのが冒頭で紹介した①と②の2冊だったのです。
 
〜「都立中高一貫校 適性検査対策『問題集について②』」に続きます〜
 

都立中高一貫校 適性検査対策「読解力について②」

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『読解力について①』」からの続きです〜

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前回の記事では適性検査問題を解く上では読解力が必要であり、 その読解力を身につけるための方法として読書が重要だと思うこと、さらに子供が本を読むようになるためには本に囲まれる環境が大切ではないかという考えを縷々述べました。今回は具体的に私が子供にどのような本を用意したか、そして子供がのちにどのような本を好んで読むようになったかについて書きたいと思います。

 

我が家の「子供文庫」の設立は、絵本の購入から始まりました。最初は乳幼児向けの赤ちゃん絵本(判型が小さくて厚紙でできている絵本)が多かったと思います。本当の最初の一冊目は、区の子育て支援企画の一環でいただいた、

・まついのりこ『ばいばい』偕成社

でした。まだ1歳になる前でしたが、読んであげると嬉しそうにしていたので、しばらくはこのタイプの本を買っていました。

この頃はまだ当然自分から欲しい本を求めるような時期ではなかったので、自分が子供の頃に家にあって好きだった絵本を中心に、何となく買い集めていました。まずは自分が子供の頃に買ってもらって実際に読んでいた懐かしの一冊を買い、反応が良ければ続けて同じ作者や出版社の別の絵本を買っていく、という流れで数を増やしていきました。例えば、

かこさとし『たべもののたび』童心社

→『からすのパンやさん』『〜おかしやさん』『〜やおやさん』『〜そばやさん』『〜てんぷらやさん』『おたまじゃくしの101ちゃん』『どろぼうがっこう』偕成社、『だいこんだんめん れんこんざんねん』福音館書店、『だるまちゃん・りんごんちゃん』瑞雲社

のような形です。とにかく塾には行かなくても子供の本には惜しまず投資しようと決めていたので、いま大雑把に冊数を数えてみたところ、少なくとも千冊は超えていそうです。仮に一冊千円だとしたら百万円になりますが、それでも小学校6年生の一年間でかかると言われている塾代より安いわけです。

 

改めて自身の子供時代を振り返ると、自分の家には決して少なくない数の本がありましたし、親も比較的本に関してはお金を出してくれていた方でしたが、それでも今の自分の考え方からすると少なかったと思います。理想としては小さい図書館が家の中にあるくらいが良いと思うのです。実際子供向けの本を買い揃えていくと、購入直後は手に取らなくてもある時突然存在が認識されるのか、「読んで!」と自分から持ってくる時が来ます。また、成長して自分で本が読めるようになると、結構前に買ったまま置かれていた本をいつの間にか読んでいることがあります(それは、食事の時間に私も知らないような細かい知識を子供が披露し始めた時、「それどこで知ったの?」と尋ねると、大抵の場合家にあるいずれかの本の名前を答えることで分かります)。このようにして得た知識は後に適性検査の対策をしていく際にも大きな力になったはずです。そしてもう一つ家に本を置いておく大きなメリットは、下に弟妹がいる場合、そのまま財産として引き継げる点にあります。特に我が家は多子家庭のため、一冊の本にかかるコストは、敢えて言えば「1/兄弟姉妹の人数」となるわけです。もちろんこのようなことを常に計算しながら本を購入していたのではありませんが、これがもし通塾費用になると「一人にかかる授業料×兄弟姉妹の人数」となりますから、相当お得な教育投資だと言えると思います。

 

子供が用意すれば用意するだけ本を読んでくれるという状況は、親の購入意欲をさらに増してくれる効果があり、第一子A子の時は常に書店の児童書のコーナーで良さそうな本を探したり、一度購入して内容に間違いないと思った作家がいればAMAZONで同じ作者の本を買うなどして、かなりの冊数を揃えました。とにかく常に子供にとって新たに読む本があるという環境を作っていたので、幼稚園の年中には絵本の時代はほぼ終わってしまい、卒園して小学校に入学する頃にはかなり分厚い物語等を読むようになっていました(「富安陽子『シノダ!』シリーズ、偕成社」など)。その後もかなりの冊数を読んだためか、本を読む速さは私が子供の頃に対して、比べ物にならないほどになりました。シリーズものを一度に購入して渡してしまうと、止めなければ一日で3〜4冊を読み終えてしまうこともありました。

今回のテーマで記事を書き始めた時、これまで子供用に購入した本のリストのようなものを記録のためにも書いておこうと思ったのですが、かなり膨大になることに気づいたので、それはまた次の回にしたいと思います。