「塾なし中学受検」を考える

〜塾に通わず、通信教材のみで都立中高一貫校に合格しました〜

都立中高一貫校 適性検査対策「基礎学習について③」

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『基礎学習について②』」からの続きです〜

yyyask.hatenablog.jp

 

話は少し戻りますが、4年生から新たに始まったZ会「小学生コース」の教材の難易度は、公立小学校の教材と私立中学受験塾の教材の中間くらいの位置付けという実感でした。公立小学校の授業レベルよりは明らかに高いが、私立中学入試問題のレベルで言えば、四谷大塚ないし日能研の偏差値で40台前半くらいかな、という感じです(それも何とか合格ラインに行くかどうか、8割以上の得点はかなり厳しいと感じます)。それは、私立中学の入試に特有の問題を解くために必要な知識やテクニックはほとんど載っていないからです。それでも国語と算数は応用レベルの問題もあり、特に算数はなかなか骨太な問題も多く、よく娘が「分からない」と言った問題を解説を見ながら一緒に考えたりしました。計算ドリルも補助教材として夏休み前に追加されたりするので、とにかく基礎から初級レベルの応用問題まではしっかりカバーされている印象です。その意味では、私立中学受験をしない我が家にとっては十分過ぎる教材でした。

 

一方で、理科と社会は相対的に分量も少なく、各回の構成が「解説を読んでから問題を解く」流れで一貫しており、かつ問題もほぼ解説に書いてある内容をなぞる形の出題のため、難易度は低めです。分からなければ解説に戻って該当箇所を探せば、ほぼ答えは書いてあります。きちんとやれば理科や社会に関する基礎知識は身につきますが、国語と算数以上に私立中学受験レベルとの乖離は大きいです(そもそも目的が異なるので当然なのですが)。

 

このように見てみると、私立中学の入試問題がいかに難しいか、またいかに多くの受験生にとって学習の負荷がかかっているかを改めて感じました。先日、ある中学受験専門塾の夏期講習の時間割を見たのですが、朝の9時30分からスタートで、100分(!)の授業が2コマあり、昼食休憩。その後再び100分授業が3コマあって(その時点で夜7時くらい)、希望者は1〜2時間自習して帰っても良い、とそんな感じでした。遅い子で夜の8〜9時に帰宅という…。それが夏の間5日間で1ターム、全部で3〜4タームあるようでした。私には行き過ぎているように感じました。

 

私も中学受験経験者ですが、自分が通っていた塾の夏期講習は、さすがにこんなに長時間ではなかったと思います(はっきりとは覚えていませんが)。もちろん講習自体はありましたが、せいぜい夕方4時までには終わっていたのではないか。通っていた塾では正月三が日特訓なんていうのもありましたが(さすがに親もそれに行けとまでは言いませんでしたが)。考えるに、少子化が進んだことで、一人の受験生からできる限り受講料を搾りとる必要が生じているのでしょうか。

 

中学受験の問題は、年々難易度のインフレを起こしていると聞いたことがあります。10年前には難関校でしか出題されなかったレベルの問題も、10年経つと偏差値50ほどの学校でもほぼ定番化されて出題されるようになるとのことでした。できる子ほど差がつかなくなるからでしょうね。それも先ほどのように塾がたっぷり時間をかけて攻略法を伝授するから、出された当初は考えさせる良い問題も、すぐにパターン化され、陳腐化してしまうのでしょう。そういった学校と塾とのいたちごっこに振り回される小学生たちは、本当に良い学びができているのかなとついつい考えてしまいます。だからこそせっかく苦労して私立中学に入学できても、一定数燃え尽きるような形で成績低迷、不登校や中退になってしまう子どもが出てきてしまうように思うのです。

 

話が少し逸れてしまったので、次回は引き続きA子のZ会との取り組み方について書きたいと思います。

 

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『基礎学習について④』」に続きます〜