「塾なし中学受検」を考える

〜塾に通わず、通信教材のみで都立中高一貫校に合格しました〜

都立中高一貫校 適性検査対策「読解力について①」

今回は、都立中高一貫校受検における読解力の重要性について感じたことを中心に書きたいと思います。

 

適性検査の過去問、特に検査ⅡとⅢをご覧になったことのある方には共感していただけると思いますが、まず問題文自体がかなりの長さになっており、それを読んで理解する必要があります。その上、45分という非常に短い試験時間の中で難しい問いにも答えて行かなければならないということで、処理速度も求められます。娘のA子の場合、6年生の1月から志望校の過去問を実際の試験時間で解くことを始めましたが、制限時間内に解き切るのはかなり厳しく、問題との相性が良ければ何とか解き切れるものの、そうでない時は時間が足りずに終わってしまう、といった状況でした。

 

そのことを考えると、適性検査問題を問題として解けるかという前に、まずは基本的な力としての読解力は不可欠だと感じます。そして、読解力と同時に速く読む力もまた重要です。問題文をきちんと理解しながらそれなりの速さで読むために、私が対策として考えたのは、本当にありきたりなことですが、「読書」でした。より正確に言えば、都立中高一貫校受検の対策として読書を勧めたのではなく、元々の教育方針の中に「とにかく読書はどんどんさせる」というものがあり、その結果として適性検査問題の読解に役立った、という流れになります。

 

以前書いた「『塾なし中学受検』を選んだ理由」でも触れた通り、我が家は経済的な理由から塾に通わせずに受検する道を選んだのですが、本についてだけは「書店で子供が興味を示した本は購入する」ことにしていました(本気で計算したことはまだないのですが、この10年間の子供の書籍購入費は合計で100万円は優に越えているかもしれません。それでも子供1人を3年間進学塾に通わせればまず200万円は越えると言われていますから、それに比べれば抑えられていると言えます)。さらに、それより以前は、つまり子供が自発的に本を選べるようになる前までは、親の視点で読み聞かせしたい本、いずれ読んでほしいと思う本を購入していました。

 

私自身が読書を趣味としていることもあり、住まいの部屋全体に本棚にして10棹分以上の本があるため、元々本を買うことにあまり躊躇はなかったのですが、さすがにそこにプラス子供の本となるとスペース的にかなり厳しくなってきてしまうため、自分自身のための本は電子書籍で構わないものはそれで済ませるようにしてきましたが、それでも紙の本もちょくちょく買うので最近はかなり置き場に困っている状況です。

 

若干話がずれてしまいましたが、何を言いたいかというと、子供に本を読んでもらうようにするために個人的に効果があると思うのは、物理的に周囲に本が沢山ある環境を作ることです。よく教育関係の雑誌や動画などで、「本好きな子供に育ってもらうにはどうすればいいか」といった親からの質問や悩みが扱われることがあります。その答えとして最近よく目にする気がするのは、「親御さん自身が本を読んでいますか?親が読書をしないようでは子供もなかなか本を読もうとしませんよ」という、親の姿勢を問う回答です。確かにそれも一面で真実だと思います。というよりも、「親が本好きならその傾向が子供にも概ね遺伝する」ことを逆方向から説明しているだけかな、という気もしないではないのですが、仮に「では子供の前で本を読んでいるところを見せようか」と思ったところで、読む本は当然親子で異なるのですから、子供が読みたい本、そして親が読ませたい本の準備はいずれにせよ必要なわけです。

 

その時に、子供の周りに実際に本がなければ読みたくても読めないのですから、できるだけ多くの本を用意しておくことが重要だと考えます。ただ、繰り返しますが、これは私がこれまでの経験から色々と考えた末に個人的に行き着いた考え方であり、ここは価値観や経済状況で方針が分かれるところだと思います。私のこの考え方に価値観の面で衝突するのは、「部屋はスッキリと、余計な物は一切置かない派」でしょう。四半世紀近く前から「捨てる!技術」、「片付けの魔法」、「ミニマリスト」等々と、連綿と続く系譜のあれです。私は個人的に真逆の考え方なので(むしろ「立花隆的知的混沌」を好みます)、この系統の考えをお持ちの方には全く説得できる余地はないと考えます。ただ、経済的事由で本を購入することが難しいという向きに対しては、できれば古書店での購入、それも難しければ地域や小学校の図書館の最大活用でほぼ対応可能だと考えます。「ほぼ」と敢えて書いたのは、やはり理想は子供のお気に入りの本が常に手元にあるという環境だと考えるからです。

 

その利点は2つあると考えます。まず、子供の読書傾向を見ていて気付くのは、子供はお気に入りの本は何度でも飽きずに読み返すということです。これはまだ自分で本を読めない読み聞かせ期に本当に顕著ですが、もうこちらが疲れてヘトヘトになってしまうほど同じ絵本を「読んで!」と持って来ますよね?😅これって自分で読書できるようになってからも大体変わらない傾向だと思うのです。やはり子供はお気に入りの本は勉強机の前の棚やベッドの宮に並べて、何度も何度も繰り返し読んでいるみたいです。これは本人が楽しいことはもちろん、活字に慣れるという意味では最高の方法になっていると思います。もう一つの利点は、これは家族構成によりますが、下に弟妹がいる場合、そのまま本を引き継げるということです。時には下の弟妹が兄姉の読んでいる本に興味を示して手に取ったり、兄姉が自分が読んで面白かった本を下にあらすじを解説して勧めていたりもしました。兄弟姉妹の最高のコミュニケーションだなと感じました。これらはいずれも本自体が家にあって初めてうまくいくことです。その点において、私は古本でもいいから家に物理的に本がある環境が良いと思うのです。

 

以前読んだユダヤ人の教えに関する本の中で知った格言で私が好きなものに、「もし貧しくて物を売らなければならないとしたら、まず金、宝石、家、土地を売りなさい。最後まで売ってはいけないのは本である」というものがあります。本を知識の象徴、源泉として捉え、崇高なものとする価値観は、本当に素晴らしいと思います。

 

〜「都立中高一貫校 適性検査対策『読解力について②』」に続きます〜

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