「塾なし中学受検」を考える

〜塾に通わず、通信教材のみで都立中高一貫校に合格しました〜

都立中高一貫校 適性検査対策 「調査書について③」

〜「都立中高一貫校  適性検査対策  『調査書について②』」からの続きです〜

yyyask.hatenablog.jp

 

前回、前々回と、いくつかの観点から調査書について書きましたが、今回もその続きを書きたいと思います。

 

前回の「都立中高一貫校 適性検査対策『調査書について②』」では、調査書を得点源としてだけでなく、調査書点すなわち小学校の成績を上げていくプロセスそのものが適性検査問題を解くのに必要な学力を身につけることにつながっているのではないか、との視点を示しました。我が家のA子の場合、小学校で任意の提出物として小学4年生の時から課されていた「自学自習ノート」に3年間継続して取り組んだことが学力の基盤構築になったのではないかという考えについては前回書いた通りです。

 

一方で、調査書の内容をより良くしていくことにつながる勉強以外の要因としては、行事を含む小学校での様々な活動にどんどん積極的に挑戦していくことが挙げられると思います。このように書くとあたかも調査書の成績アップのために頑張るのか、と思われてしまいそうですが、それはあくまで結果からさかのぼっての話であって、やはりここでも大切なのは子供が色々なことに挑戦する過程と、そこから得られる経験だと思うのです。

 

A子を例に出して言いますと、彼女は元々は決して自分から進んで前に出て行くタイプではありませんでした。むしろ慎重に周囲の様子を伺いながら、自分の出方を決めていくようなところがあったようです。そのため、小学校からの帰宅後に色々と話をしていると、「今日◯◯の授業で先生が『△△についてどう思う?』ってみんなに聞いて、ほとんどの子が◇◇って答えてたんだけど、自分は××だと思った」といったことを言う時があり、私が「A子がそれ言ったらどんな反応だった?」と聞くと、大抵「え、面倒くさいから言わなかった」という返事が返ってくるということが、特に4年生くらいまでは多かった気がします。

 

それが、5年生以降から少しずつ前に出て行けるようになり、例えば行事の司会や進行の役割、長期休暇明けの朝の朝礼でのスピーチ、式典でのピアノ伴奏など、立候補者が求められるチャンスがあれば、どんどん手をあげられるようになったそうです。もちろん、選ばれる時もあれば選にもれてしまう時もあったようですが、選んでいただけた時はとても喜んでおり、またそのような機会の積み重ねが本人の自信の形成につながっていたように思います。家庭では選ばれた時はもちろん目一杯褒めてやりましたが、選ばれなかった時は挑戦したことの立派さをそれ以上に褒めてやるようにしました。それもあってか、A子は選ばれなくても腐ることなく、次の機会が来ればまた手を挙げるということができていたようです。

 

都立中高一貫校に入学して間もなくA子から聞いた話なのですが、早速5月に行われる行事のクラス委員2名を決めるために担任の先生が立候補者を募ったところ、クラスの半数以上の生徒が一斉に手を挙げたそうです。それを聞いた時、私はさもありなんと思い、それと同時に学校側が調査書を選考要件の一つに入れている理由はこういう所にもあるのだろうと得心がいったのでした。つまり、何事にも興味・関心を持って主体的に関わって行く姿勢を持っているかどうかを、調査書における評価を通して見ているのだと思うのです。学力テストだけでは測りにくいこのような資質を、2〜3年分の調査書を通して確認するという意味がここにはあるのだと思います。

 

その点で個人的に少し違うのではと思うのは、YouTube等で見かける「調査書点を上げるために授業中はとにかく手を挙げよう!」といったアドバイスの類です。もちろんテクニックとしてはそれによって先生の印象は良くなり、結果的に調査書点が上がる可能性も高まるでしょう。けれども、言い方は難しいのですが、個人的には「そういうことじゃないんじゃないかなあ…」と思うのです。少なくともそこに子供の主体性がない限り、ドーピングのようにして得られた点数になるわけで、先ほどお伝えしたような入学後の周囲の生徒との姿勢の差が負担になってしまうのではないかなと感じます。ただ、ここは多分に個人の考え方の違いによるところですので、「あくまで合格を目標として、少しでも取れる点は取るんだ」というのも一つの姿勢としてあってもいいとは思います。