「塾なし中学受検」を考える

〜塾に通わず、通信教材のみで都立中高一貫校に合格しました〜

「塾なし中学受検」を選んだ理由①

こんにちは。今春、第一子A子が塾に通わずに都立中高一貫校に合格したことに関してあれこれと記述していくブログです。

 

前回までは「都立中高一貫校の合格ライン」というテーマについて書きました。今回から何回かにわたって「なぜ『塾なし中学受検』を選択したか」について書いていきたいと思います。

 

まずはじめにどのような理由があったのか、列挙したいと思います。

a. 子供自身の意思の尊重

b. 私立中学受験というシステムへの思い

c. 経済的な問題

 

その上で、まずはa. について書きます。これは今後「塾なし中学受検」を考えている、あるいはすでに実践しているご家庭の中では少数派なのでは?と勝手に考えているのですが、実は私自身は私立中学受験の経験者で、実際に私立中高一貫校に通い、卒業した経歴を持っています。とは言っても、小学生の頃の私の意思はそこには一切なく、完全に父親主導で行われた中学受験でした(母親の意思もほぼ反映されなかったようです)。まあ、今から30年以上前のその当時は、多かれ少なかれそのような家庭が多かったとは思います。学校説明会も各校年間で2〜3回開かれていた程度で、今のように受験生を対象にした体験会や見学会なんてありませんでした(一部あったのかもしれませんが、少なくとも我が家は参加していませんでした)。

 

記憶に残っているのは、小学6年生2学期の土曜日の午後、父親が半ドンで帰ってきた後に家族で時々私立学校(全て男子校)を訪ね、父親が受付で「見学させて下さい」と声をかけて校舎や校庭を外から見させてもらっていたことです。今のように受験生に対してサービス精神なんて発揮する必要がないくらい、黙っていても受験生がやって来るような時代だったからなのかは分かりませんが、良くも悪くも非常にあっさりした対応で、誰も案内や説明などしてくれる人もいない中、家族4人で(弟1人含めて)ぼーっと校舎を眺め、5分くらい眺めたら「そろそろ行くか?」なんて父親が言い出して学校を後にする……そんなことを2〜3校したでしょうか。

 

それ以外では、通っていた塾の公開模試で私立学校が会場になる時はそこを(父親が)選んで受けに行ったり、あまり関心がなかったためおぼろげですが一校だけ学園祭を見に行ったこともあったと思います。そう、記憶がおぼろげなのは、私立中学受験というものに対して私自身に全く主体性がなかったからなのです。むしろ、自分としては通っていた公立小学校の友人たちの大部分が進学する公立中学校でもよかったくらいでした。

 

私の出身区は全体としては東京でも比較的教育熱が高いことで知られるところなのですが、当然場所によってはそうでない地域もあるわけです。私の場合は周辺に商店街があるような地域だったこともあり、私立中学受験組はごく少数派でした。小学1年生から始めた進研ゼミが楽しくて、しかも小学3年生の時に親友になった友人が学年末の3月にようやく親の説得に成功してチャレメ(おそらくチャレンジメイトの略)になって、「これでお互いの家で一緒に勉強できるね!」と大喜びしていた矢先、親から「今月でチャレンジは終わり、明日から塾に行くからね」と宣告された時の絶望感、そして号泣しながら抗議しても一切聞き入れてもらえなかったことを昨日のことのように覚えているのは、それだけ幼い私にとって辛い出来事だったからなのでしょうか。

 

とにかくそのようにスタートからして強制的に塾通いを命じられた私にとって、頭に刻まれた構図は「中学受験=強制」というものになってしまったのでした。その後も私の塾通い、そして私立中高一貫校時代に関する話は色々とあるのですが、だいぶ逸れてしまった話をA子のことに戻すと、私はこの自分の経験から我が子の受験に関しては「絶対に本人の意思を尊重する」ということを肝に命じて子育てをして来たわけなのです。つまり、「はじめから中学受験をさせる、させないを親の考えで決めない」ということです。この点について時々心配になるのが、私に似たような経験をされた方で「だから子供には絶対に中学受験はさせない!」と決めている人がいること、そしてまるっきり反対に、自分が公立中学→公立高校と進んで大変苦労したからという理由で「だから子供には絶対に中学受験をさせるんです!」と決めている人が共にいらっしゃることです。

 

私にはそのどちらの姿勢にも危険なものが感じられます。大切なのは、なるべく両方の選択肢を提示した上で、「子供自らに選択させること」なのではないかなと個人的には思っています。そして、A子は私たち夫婦からのこの問いに対し、「塾に通ってまでは受験したくない」と答えました。それでいいんだと思います。

 

〜「『塾なし中学受検』を選んだ理由②」に続きます〜

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